摩擦堅ろう度試験とは?目的や試験方法をわかりやすく解説

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白いシャツやブラウスに他の服の色が移ってしまった経験はありませんか?着用していて雨の日や汗をかいた時に他のものに色が移ってしまいショックを受けたことがある人もいるでしょう。

今回ご紹介する摩擦堅ろう度試験は、こうした衣服の摩擦に関するトラブルに着目した試験です。製品をより快適に、長く着用できるようにするための試験です。繊維製品の堅牢度を調べる基本的な試験の1つですので、試験を検討されている方はこの記事をぜひ参考にしてください。

摩擦堅ろう度試験とは?

摩擦堅ろう度とは、生地や皮などの摩擦による色移りの程度を調べる試験です。染色された製品が摩擦によって他のものをどれくらい汚してしまうかを調べます。

摩擦堅ろう度試験とは
普段歩いたり座ったり、さまざまな動作をしていると衣服が何回も擦れます。そうすると他の衣服に色が移ったり、逆に移されることもあります。摩擦堅ろう度試験では、こうした摩擦による色移り(汚染)の度合いを評価していきます。

摩擦堅ろう度試験を実施する目的

摩擦堅ろう度試験を実施する大きな目的は、製品の品質を守り消費者の信頼を得ることです。

せっかく買ったお気に入りの服が、摩擦によって他のものから色移りして汚れてしまったらどう思うでしょうか?ひどく落ち込むだけでなく、購入した業者に文句を言いたくなるかもしれません。その服だけならまだしも、落ちた色が他の服まで汚してしまえば大惨事になり、文句どころではなく返金や弁償を求めたくなるはずです。

摩擦堅ろう度試験は事故やクレームを未然に防ぎ、消費者に安心して使っていただくために必要な試験です。色移りのリスクを最小限に抑えれば、その製品だけでなく他の製品も長く快適に使えるようになります。

また、摩擦堅ろう度試験は製品を正しく管理するためにも重要です。基本的に染料は水に濡れると落ちやすくなります。そのため雨や洗濯などで生地が濡れると摩擦による色移りもしやすくなります。摩擦堅ろう度試験で色移りしやすい条件をあらかじめ把握することで、製品の品質表示で注意喚起できるようになります。

摩擦堅ろう度試験の対象となる主な製品

摩擦堅ろう度試験の対象範囲は多岐に渡ります。特に濃い色のものやプリントされたもの、革製品などで多く実施しています。Tシャツやジーンズのような衣服をはじめとして、ぬいぐるみや靴、ソファの生地やマウスパッドの素材などさまざまな繊維製品が対象になります。靴などのようにさまざまな素材を組み合わせた製品の場合はそれぞれの生地を試験します。

摩擦堅ろう度試験の対象となる主な製品

基本的に摩擦堅ろう度が高い方が良いとされていますが、デニム生地は例外です。ジーンズなどのデニム生地は色落ちの風合いを楽しむ想定で作られているものが多いため、他の繊維製品よりも摩擦堅ろう度が低めの基準になっています。オリジナルTシャツなどで使われるインクジェットプリントも色落ち・色移りしやすい傾向があります。学校の文化祭やイベントなどでよく見られますが、低コストで作れる分、色落ち・色移りしやすいデメリットがあります。

摩擦堅ろう度試験の試験方法

摩擦堅ろう度試験は、主に「乾燥試験」「湿潤試験」の2つを実施します。乾燥した状態と濡れた状態では数値が異なるケースが多いため、両方実施する場合がほとんどです。

評価は1級から5級まで。「1,1-2,2,2-3,3,3-4,4,4-5,5級」の9段階で評価されます。乾燥状態と湿潤状態で異なる場合は「乾燥4級 湿潤3級」のように示されます。求められる等級は製品によって異なりますので、詳細は検査会社にご確認ください。なお、試験機には形と形があり、日本では形が一般的です。

乾燥試験

試験対象の生地を摩擦試験機の試験台に取り付けます。そして、乾燥した綿布を摩擦試験機の上部にあるアーム先端(摩擦子)に取り付けます。

設置が完了したら、約200gの荷重で100mmの長さを100回往復して摩擦していきます。摩擦が終わったら綿布を外し、汚染用のグレースケールを使用して綿布の汚染(色移り)の度合いを判定します。

グレースケールとは繊維の汚染の度合いを判定するための標準尺度です。試験前後で綿布の色を比較する際に使用します。

測定結果は前述の9段階で評価されます。評価が悪いと事故やクレームにつながる恐れがあります。特に乾燥試験の評価が悪い場合は注意が必要です。良い評価が得られるよう製品の改良が求められます。

摩擦堅ろう度試験の試験方法1 摩擦堅ろう度試験の試験方法2

湿潤試験

試験方法は乾燥試験とほとんど同じです。違いは綿布が湿潤(濡れた)状態であることです。湿潤状態の度合いによって試験結果が大きく異なりますので、濡らす程度はJIS規格で細かく定められています。

乾燥試験と同様、約200gの荷重で、100mmの長さを100回摩擦します。綿布を取り出したら、しっかり乾燥させてから判定します。よく乾燥させたら汚染用のグレースケールで汚染(色移り)の度合いを評価します。

他のものを汚さずファッションの快適性を保つ摩擦堅ろう度試験

摩擦堅ろう度は色移りに関わる重要な指標です。クレームや返品・返金・回収といった大きなトラブルに発展する恐れもあります。摩擦堅ろう度試験でこうしたトラブルを未然に防ぎ、消費者が安心して製品を利用できるよう配慮していきましょう。

また、摩擦による色移りを完全に防ぎきることはできません。品質表示などで製品の取り扱いについて適切な注意喚起を行い、製品を長く快適に利用できるようにする必要があります。

適した試験方法は製品や得たいデータによって異なります。繊維製品の検査を検討されている方は検査会社にお問い合わせください。

堅ろう度の試験方法はこの他にも

色移りの原因は摩擦だけではありません。色落ち・色移りのしにくさ(堅牢度)を調べる試験は摩擦堅ろう度試験以外にも数多くあります。摩擦堅ろう度試験と合わせてご確認ください。

耐光堅ろう度試験

太陽の光など、光の作用によって生地の色が変化する度合いを調べる試験です。カーボンアーク、キセノンアークという試験機で太陽光を模擬的に照射し変色・退色の度合いをチェックします。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

洗濯堅ろう度試験

洗濯による生地の色落ち・色移りの程度を調べる試験です。洗濯を行う繊維製品においては品質に関わる重要な試験です。洗濯試験機で洗濯し、試験片の変退色や白布への色移りの程度などを調べます。試験では市販の合成洗剤を使用することもあります。

汗堅ろう度試験

汗による生地の色落ち・色移りの度合いを調べる試験です。試験では実際の汗ではなく薬品を調整した人工汗液を使用します。酸性とアルカリ性の2種類の人工汗液があり、通常はどちらも使用して試験を実施します。ただし、JIS規格の人工汗液でも実際の人の汗と100%同じではないため、試験で相当の評価が得られたとしても汗による変色が見られることもあります。

ドライクリーニング堅ろう度試験

ドライクリーニングを実施した際の色落ち・色移りの度合いを確認する試験です。ドライクリーニングは普通の洗濯と異なり、石油系溶剤やパークロロエチレンなどの有機溶剤を使用します。ドライクリーニング堅ろう度試験はこうした溶剤による色落ち・色移りの度合いを調べます。

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