あずきバーで釘が打てる?硬度の違いとよくある誤解

食品・飲料・お酒

あずきがたっぷり詰まったあずきバー。コンビニやスーパーで買ったことがある人も多いのではないでしょうか?そして一度でも食べたことがある方は、あずきバーの強烈な硬さに驚いたことがあると思います。

この記事では、あずきバーは実際にどれくらい硬いのか?そもそもどうしてあずきバーは硬いのか?詳しくお伝えしていきます。
また、硬さ、硬度の違いや硬度に関する知識を解説していきます。

あずきバーは一瞬だけサファイアの硬さを超えたかもしれない?

あずきバーは瞬間的にですが、ダイヤモンドに次ぐ硬さともいわれるサファイアの硬さを超えた、等とネットでも話題になりました。これは、「ロックウェル硬度計」で測定したときのエピソードです。

岐阜県関市のナイフメーカー、株式会社ジー・サカイは主に金属材料の硬度を測る機器、デジタルロックウェル硬度計を用いてあずきバーの硬度を測定しました。6本入りボックスタイプのあずきバーを測定したようです。

ロックウェル硬度計は表面の硬さの測定に使用される機械です。圧子に基準となる一定の力を負荷して押し込んだときの深さを0(ゼロ)として、さらに大きな力を圧子に負荷して押し込み、一定時間保持した後に基準の力に戻したときのくぼみの深さから硬さを算出するという原理です。

ロックウェル硬さには様々なスケールがあり、ナイフや包丁などの金属に適したものやプラスチックに適したものもあり、スケールによって圧子の材質や負荷が異なります。どのスケールでも数字が大きいほど硬さが増すのは共通しています。たとえば、金属に適したスケールの一つ、Cスケールで測定したときに一般的なナイフの刃は HRC56 から HRC61 程度の数値を示します。

あずきバーをロックウェル硬度計で計測したとき、瞬間的に HRC300 相当のデータを示したといいます。しかしそれは瞬間的なことで、安定した値は得られていません。また、あずきバーは徐々に溶けて時々刻々と変化するため、結果としては測定不能という結果になっています。

ここでは最終的な測定値は得られていないので、HRC300 はあずきバーの硬度公式記録、とはいきません。実験した株式会社ジー・サカイも結果は測定不能と明記しております。 サファイアの硬さはビッカース硬度という別の基準での値で HV2300 となりますが、これを換算して HRC227 程度になるというのも概算で、正確な測定値ではありません

【参照】: デジタルロックウェル硬度計であずきバーの硬度を測定してみました : ジー・サカイのNO KNIFE NO LIFE (livedoor.blog) 

しかし、その一方ではあずきバーで釘が打てる等の実験に成功した人もいて、あずきバーが中々の硬さを誇るのは間違いないのかもしれません。

「硬さ」には様々な測定方法がある

実は、硬さを確かめる測定方法は複数あります。一言で「硬さ」といっても、その基準は様々あるということです。

モース硬度はひっかいたときの傷つきにくさを数値で示すもので、主に鉱物に対する硬さの尺度の1つです。基準となる10種類の鉱物でお互いをこすり合わせた結果で硬度を決定します。

ロックウェル硬さとは圧子を試料に押し当てて出来たくぼみの深さから数値を求める方法です。前述の通り様々なスケールがあり、スケールによって圧子はダイヤモンド製で円錐形状の圧子や1/16インチの鋼球を使い分け、押し当てる力も変わります。

硬さを測定する方法は他にもあります。ビッカース硬さという測定方法では試料の表面上にダイヤモンド製の四角錐(ピラミッド型)圧子を押し当てて出来たくぼみの表面積から数値を求める方法です。

また、ショア硬さという測定方法もあります。一定の重さと形状を持つダイヤモンド製のハンマーを試料に垂直に落下させてハンマーが跳ね返った高さで硬さを決定する方法です。
この他にもヌープ硬さブリネル硬さなど、様々な試験方法があります。その製品にどのような硬さが求められるのか?という目的や用途に応じて試験法や試験機が考案されてきたのです。

あずきバーが硬いのはなぜ?

あずきバーの硬さは数値こそ明確ではありませんが、非常に高く、木材に釘を打つ実験例などもあります。
では、あずきバーはなぜ硬いのでしょう。

一般にアイスクリームやラクトアイスなどと呼ばれるお菓子の場合、空気を多く含んでいます。あたかも泡立ったまま冷やして固まったような状態で、柔らかく舌触りがよくなる効果があります。アイスキャンディーなどの氷菓の場合も、空気を多く含むことでかき氷を固めたようなシャキシャキとした歯触りが得られます。

しかしながら、あずきバーを製造している井村屋が明かしたところによると、「ぜんざいをそのままアイスにする」という発想から小豆・砂糖・コーンスターチ・塩・水あめと必要最小限の原料のみでぎっしりと詰め込むように作っているとのことです。ぎっしり詰め込んだ結果、泡立ったような空気も少なくなり、あの硬さが発現するようです。

また、消費者から甘さが求められなくなったのを受けて以前より砂糖を減らすなどレシピを変えていった結果として、以前のものより硬さも増しているとのことです。

【参照】:『あずきバー』なぜ固い? 井村屋が明かす3つの理由「昔より固い」 (withnews.jp)

硬くする目的でそうしている訳ではないとのことらしいのですが、空気もあまり含まず氷の塊に近い状態になりながら、しかも、硬いかわりに割れやすい氷の弱点をあたかも補うかのように弾力性のある小豆が補強材として満遍なく入っています
なるほど、硬くなりそうではあります。製品の性能は意外な形で発現するものですね。

今度あずきバーを召し上がる際は、この記事で得た知識を噛みしめながら、気をつけて召し上がってください。

関連記事

TOP