PSCマークが製品に表示されているのを見たことはあるでしょうか?
特に生活用品の中で、見た事がある人は多いかもしれません。しかし、どういう意味でPSCマークが表示されているのか知っている人は少ないです。この記事では、PSCマークの概要と主な対象製品、取得方法について紹介します。
目次
PSC(消費生活用製品安全法)について
消費生活用製品安全法は、消費生活用製品により起こりうる怪我、火傷、死亡などの人身事故の発生等を未然に防ぎ、消費者の安全と利益を保護することを目的として制定された法律です。
消費生活用製品のうち、一般消費者の生命又は身体に対して、特に危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品を特定製品として指定しています。特定製品のうち、特定製品の製造又は輸入の事業を行う者の中に、安全性の確保が十分でない者がいると認められる製品は、特別特定製品として指定しています。
特定製品の製造又は輸入、及び販売の事業を行う者は、PSCマークが付与されているものでなければ、特定製品を販売し、又は販売の目的で陳列してはならないとされています。
PSCは「Product Safety of Consumer Products」(消費生活用製品の安全)の略です。
PSCマークは、10品目が対象で「特定製品」と「特別特定製品」に分かれています。
10品目のうち家庭用の圧力鍋及び圧力釜、乗車用ヘルメット、登山用ロープ、石油給湯器、石油風呂釜、石油ストーブの6品目は、事業者が自主検査で技術基準に適合していることを確認し、販売に際して「丸形のPSCマーク」を貼り付けることになっています。
乳幼児用ベッド、携帯用レーザー応用装置(レーザーポインター等)、浴槽用温水循環器、ライター(平成23年9月から)の4品目については「特別特定製品」として指定し、事業者の自主検査に加えて第三者による適合検査を義務付けています。
マークは 「ひし形のPSCマーク」を貼り付けることになっています。
同様のマークとして、電気製品を対象とした「PSEマーク」があります
PSCマークとPSEマークの違い
PSCマークに似ているマークで、PSEマークがあります。
PSCマークは、消費生活用品に使われるマークです。消費者の生命や身体に対して危害を及ぼす可能性の高い製品に対して表示されます。
消費生活用製品安全法という法律に定められた基準を満たす必要があり、人体に与える危険度から、特定製品と特別特定製品に大きく分かれます。PSCマークは、10品目にのみ表示が義務付けられています。
対してPSEマークは、電化製品に使われるマークです。電気用品安全法という法律を満たしている商品に付けなければならなりません。電気用品安全法とは、電気製品が一定の安全基準を保つために定められた法律です。
対象範囲は、電気用品として国が指定した457品目の製品です。457品目に関してPSEマークをつける義務があります。PSEマークのついていない製品は日本国内で販売することが出来ません。電化製品の使用中に製品に不備があり大きな事故になってしまったら大変です。事故を未然に防ぐためにも電気用品安全法を守らなければなりません。
また、事故による危険度が高い電化製品を特定電気用品として扱っています。通常の電気用品よりも安全基準が厳しいのが特徴です。
PSCマークもPSEマークも丸形の表示とひし形の表示があるのは同じです。
ひし形の方がどちらも人体に対する危険度が高いマークとなっています。ひし形のマークがつけられる製品は、どちらも国が指定する機関で検査基準を満たしている必要があります。PSCマークもPSEマークもマークが表示されていない製品に関して販売が禁止されています。
PSCマークは、一部の消費生活用品につけられるのに対し、PSEマークは電化製品すべてに付けられます。対象品目もPSCマークが10品目なのに対してPSEマークは457品目と対象となる製品に大きな差があります。
PSEマークについてはこちらの記事をご覧ください。
PSCマークが必要な対象製品
PSCマークが必要な対象製品をもう少し詳しく解説します。
対象製品は特定製品の6品目、特別特定製品の4品目に分かれます。
特定製品
・家庭用の圧力なべ及び圧力がま
内容積が10リットル以下であり、9.8キロパスカル以上のゲージ圧力で使用するように設計された製品が対象になります。例えば、圧力なべや高圧力の炊飯器などです。
・乗車用ヘルメット
原動機付き自転車か自動二輪車に使われるヘルメットが対象になります。例えば、原動機付き自転車用のヘルメットやオートバイ乗車用ヘルメットなどです。
・登山用ロープ
山からの墜落、滑落防止など人体を守るために使うロープに限ってPSCマークの表示が義務となります。ザイルなどが例に挙げられます。
・石油給湯機
熱交換器容量が50リットル以下で灯油の消費量が70キロワット以下の製品に限ります。
・石油ふろがま
灯油の消費量が39キロワット以下の製品に限ります。
・石油ストーブ
灯油の消費量が12キロワット以下の物に限ります。ただし、解放燃焼式で自然通気形の製品は7キロワット以下となっています。
特別特定製品
・乳幼児用ベッド
出生してから2年以内の乳幼児の睡眠または保育に使用することを目的とした製品に限ります。ただし、揺れ動くような乳幼児用ベッドは対象外です。
・携帯用レーザー応用装置
レーザー光を用いて文字やホワイトボードなどを指し示す為に使われる製品に限ります。例えば、レーザーポインターやレーザー照準器などです。
・浴槽用温水循環器
家庭で使うよう設計した浴室用温水循環器に限ります。水の吸入口と噴出口が構造上一体となっており、加熱のために水を循環させることが出来る水の最大流量が10リットル未満の製品は対象になりません。ジェットバスが例として挙げられます。
・ライター
煙草以外に点火するライターも含みます。容器は全部もしくは一部にプラスチックを用いている家庭用のライターが対象になります。
PSCマークの取得方法
PSCマークを表示するまでの流れを解説します。
①事業の届出
特定製品か特別特定製品を扱う事業を開始したら、30日以内に事業の届け出を必ず行ってください。
②基準適合確認
製品が国の定める一定の基準に達しているか基準適合確認を行います。
基準適合確認は、製品のサンプルで検査を行います。完成品として製造する前に何度もサンプルを作り直すと考えられるため、少量で基準適合確認をします。
③適合性検査
適合性検査を行います。
適合性検査は、サンプルではなく完成品で行なうのが基本です。適合性検査では対象となる製品を生産するラインのみ検査が行われます。工場がPSC基準を満たした検査設備を有しているか、工場ラインの人が検査設備を問題なく使いこなせているかなどが重要になってきます。
例えばレーザーポインターの場合はレーザー光線の波形、波長などを測定する機械が必要です。無事に合格した場合は証明書が発行されます。
④自主検査
適合性検査だけでなく、自主検査も行っていきます。
事業者は、特定製品や特別特定製品の製造または輸入を行なう場合、国が決めた検査の方法により検査を実施する必要があります。検査を元に検査記録を作成し、検査の日を基準として3年間保管する必要があります。検査記録には、6項目について明記する必要があります。
- 製品の品名及び型式の区分並びに構造、材質及び性能の概要
- 検査を行った年月日及び場所
- 検査を実施した者の氏名
- 検査を行った製品の数量
- 検査の方法
- 検査の結果
検査記録に関しては定められた様式はないため、各事業者の様式で作成し記載すべき事項が明記されていれば大丈夫です。
基準を満たして、検査に合格した製品にPSCマークをつけることができます。
私たちの安全を守るPSCマーク
PSCマークの概要と対象となる製品、取得方法に関して解説しました。
また、PSEマークとPSCマークの違いについても解説しました。PSCマークは人体に危険のある製品から私たちを守る重要なマークです。今後、製品を選ぶときにPSCマークがついている製品か確認してみましょう。