繊維製品などの色の丈夫さを示す「染色堅ろう度(せんしょくけんろうど)」についてわかりやすく解説

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生地の”丈夫さ”は、破れない・千切れないといった強度だけではありません。「染色堅ろう度」という色落ち・色移りのしにくさもポイントです。変色や色移りに関する抵抗性を表す「染色堅ろう度」は、繊維製品の品質を決める重要なデータです。生地選定から品質表示にいたるまで、さまざまなシーンで役立つ染色堅ろう度の評価は、生地や革を取り扱う事業者にとって欠かせない情報になります。

この記事では、染色堅ろう度の概要や検査の必要性、種類や試験方法などを解説します。一般的に染色堅ろう度は高いことが理想ですが、一部そうではない場合もあるという事例をお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

染色堅ろう度(せんしょくけんろうど)とは?

「堅ろう度(けんろうど)」とは、丈夫さや安定性の度合いを表す言葉です。特に、生地や革に対して使う場合は「染色堅ろう度」のことを指し、使用中や保管中のさまざまな作用に対する色の抵抗性を意味します。染色堅ろう度は、変色や退色、色移りの度合いを表す指標として用いられています。

染色堅ろう度

多くの繊維製品は、家庭用品品質表示法の規定で、製品の取り扱い方法の表示が義務づけられています。取り扱い方法とは、洗濯や乾燥などの方法を記載したマークのこと。服のラベルに記載されているのを見たことがある方は多いでしょう。取り扱い方法の表示には、適切な記号を使用しなければならず、その記号を選定するための試験の1つが染色堅ろう度試験です。試験方法についても、JIS規格に沿った方法で行うことがほとんどです。

堅ろう度を理解せずに製品の製造や取り扱いを行うと、買ったばかりの服が数回の洗濯で色あせてしまったり、ほかのものに色移りしたりといった事態が起こることも考えられます。そのため、生地や革などの色の抵抗性を知る目的や、消費者に適切な取り扱い方法を告知する目的で堅ろう度試験が行われています。

堅ろう度を調べる試験では、色の変化を数値で表します。数が大きいほど評価が高く、5級、4-5級、4級と続き、1級は堅ろう度が最も低い評価です。4-5級のように、級と級の間の評価も含めて9段階で評価します。ただし、耐光堅ろう度のみ異なり、8級が最も高い評価です。

堅ろう度の種類と主な試験方法

堅ろう度試験にはさまざまな種類があり、製品の使用シーンや目的に合わせた試験が行われます。必要に応じて変退色と汚染の2種類について判定を行い、変退色は生地の変色や退色(色あせ)といった色の変化、汚染は白布への色移りについて判定します。

堅ろう度試験の種類と、代表的な試験方法を紹介します。

洗濯堅ろう度試験

洗濯堅ろう度試験は、家庭での洗濯による、染色した生地の変退色や汚染を調べる試験です。洗濯後に、色の変化が起こってしまわないか、色の違う生地と一緒に洗ったときに、ほかの生地に色移りしてしまわないかを事前に確認するために行われます。

洗濯堅ろう度試験

試験方法:一般的な方法としては試験片に白布を縫い付け、調整したせっけん液の中に入れて、洗濯試験機を用いて40℃~60℃で30分間処理を行います。すすいで乾燥後、試験片の変退色、白布への汚染度合いを判定します。また、使用した試験液の汚染具合も判定することがあります。

摩擦堅ろう度試験

摩擦堅ろう度試験は、着用などによる摩擦の影響で色移りする恐れがないかを検査する試験です。乾燥試験と湿潤試験の2種類があり、試験片を乾いた白綿布と濡れた白綿布でそれぞれ摩擦します。

摩擦堅ろう度試験

試験方法:試験片を摩擦試験機に取り付け、荷重をかけた白綿布で10cmの範囲を摩擦します。毎分30回往復する速度で100回往復摩擦し、白綿布への汚染度合いを判定します。

汗堅ろう度試験

汗の成分と体温の影響で、着ている洋服が変退色したり、重ね着している洋服に色を移したりすることがあります。汗堅ろう度試験とは、汗をかいて着用している状態を人工的に作り出し、生地の変退色や汚染を調べる試験です。また、人間の汗に個人差があるのを考慮し、人工汗液は酸性とアルカリ性の2種類を使用します。

汗堅ろう度試験

試験方法:試験片に白布を縫い付けたものを2つ用意し、それぞれ酸性とアルカリ性の人工汗液に30分浸します。プラスチック板に別々に挟んで圧力をかけ、37℃で4時間乾燥機に保持します。その後乾燥させて変退色と汚染の度合いを判定します。

水堅ろう度試験

水堅ろう度試験は、生地が水に濡れることで起こる変退色や、ほかの生地への汚染を調べる試験です。

試験方法:試験片に白布を縫い付けて水に浸し、プラスチック板の間に挟みます。圧力をかけて37℃の乾燥機に4時間入れて乾燥後、試験布の変退色、白布の汚染度合いを判定します。

耐光堅ろう度試験

耐光堅ろう度試験は、光による生地の変退色を測定する試験です。太陽光では天気や季節の影響により一定の条件を保てないため、試験ではカーボンアーク灯光という人工的な光源を利用することが多いです。

耐光堅ろう度試験

試験方法:試験片と耐光度合いを確認するための標準布を、照射用の試料ホルダーに取り付けます。標準布の退色が一定基準になるまで光を当てます。照射後、光が当たった場所と当たっていない場所の差を標準布のそれと比べて、退色度合いを判定します。

ドライクリーニング堅ろう度試験

ドライクリーニング堅ろう度試験は、ドライクリーニングの専用溶剤による色変化や、ほかの生地に色移りする恐れがないかを調べる試験です。

ドライクリーニング堅ろう度試験

試験方法:ドライクリーニングを想定して試験液を調整します。試験片に白布を縫い付け、調整した試験液の中に入れます。洗濯試験機を用いて30℃で30分間処理を行います。すすいで乾燥後、試験試料の変退色、多繊交織布への汚染度合いを判定します。

昇華堅ろう度試験

昇華とは、生地の染料が熱により気体になる現象のことです。昇華現象はポリエステルなどに使用する分散染料で起こることが知られています。染料の昇華現象が起こると、染料がほかの生地に移染してしまうため、昇華堅ろう度試験が行われています。

昇華堅ろう度試験

試験方法:試験片に白布を縫い付け、ステンレス板で挟みます。圧力をかけて120℃の乾燥機で80分間処理したあと、試験布と白布を分けて放冷し、変退色と汚染度合いを判定します。

窒素酸化物堅ろう度試験

窒素酸化物とは、物が燃えるときに発生するガスに含まれる成分です。身近なところでは自動車の排気ガスや石油ストーブなどからも発生しています。窒素酸化物に長時間触れ続けると染料が変色することがあるため、窒素酸化物堅ろう度試験では、窒素酸化物による変退色の度合いを調べます。

窒素酸化物堅ろう度試験

試験方法:試験片と標準染色布(変退色の程度を見るために用いる布)を同じ容器内に入れ、窒素酸化物を容器内に注入します。標準染色布が規定の段階まで変退色したところで止め、試験布の変退色度合いを判定します。

塩素処理水堅ろう度試験

家庭で洗濯に使う水道水や、水泳プールの消毒には塩素を使用しています。塩素処理水堅ろう度試験は、塩素の影響を受けやすい染料やセルロース系素材、水着などの変退色を調べる試験です。

塩素処理水堅ろう度試験

試験方法:塩素濃度を調整した試験液に試験片を入れて、洗濯試験機を用いて25℃で30分間処理を行います(※A法の場合)。その後、自然乾燥させて試験布の変退色の度合いを判定します。

堅ろう度が低くても好まれる製品がある

堅ろう度の評価が低いと、使用や取り扱いによっては色落ちや色あせの可能性が高まります。染色堅ろう度の評価が高いほどそういったリスクが低く、品質を保ちやすい生地であると評価できます。

しかし例外として、デニム生地は染色堅ろう度が低い傾向があります。デニム生地の場合は、色が落ちることで使い込むごとに自然な色合いの変化を楽しめます。デニムの退色を目的として使用前に何度も洗濯したり、漂白剤を使用したりする人もいるほどです。

堅ろう度

また、自然の樹皮や葉を使って生地を染色する草木染は、天然の色素を利用するため合成染料に比べて色変化や退色が起こりやすい性質があります。同じ材料を使っても、季節や条件により染まる色が異なることも。染色堅ろう度は低いですが、草木染の奥行きのある色合いや自然な色変化を楽しめます。

堅ろう度

ただし、染色堅ろう度が低い生地は色落ちしやすいだけでなく、他の生地に色移りしやすい傾向があります。今回ご紹介したデニム製品や色の濃いものなどと、白いシャツのような汚したくないものとは一緒に洗わないようにしましょう。

用途や目的に合わせた生地を選びましょう

堅ろう度の数値は、生地や使用する染料との相性によって大きく変化します。そのため、ファッション性や実用性だけではなく、使用シーンに適した生地や染料を見極めて選ぶことが大切です。

また、家庭用品品質表示法に基づく表示を行う際は、製品の検査を検査機関に依頼し、製品に合わせた適正な表示を行いましょう。同じ生地を使っていたとしても、製品が完成するまでの工程や付属品の有無、製品の利用目的によって評価が変わることがあるため、注意が必要です。

自社で製品に対する適正な表示がわからず、必要以上に過保護な取り扱い方法を表示しているものもあります。取り扱いによるクレームの減少にはつながるかもしれませんが、あまりおすすめはできません。なぜなら、その製品が消費者にとって扱いにくい製品になってしまう恐れがあるからです。そうなると、表示が購入の妨げになる可能性もあるでしょう。

製品の特性に合わせた生地と染料を選定し、適正な表示を行うためには、染色堅ろう度を含めた製品としての検査が大切です。検査を検討されている方は検査会社にお問い合わせください。

 

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