はっ水度試験とは?主な目的や試験の種類・方法について

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コートや釣り用のウェア、ウインドブレーカーなどは、水を弾く性質(はっ水性)を持つものがあります。雨水が粒になって転がり落ちる様子を見たことがある方もいると思います。最近ははっ水スプレーやはっ水加工してくれるクリーニング店もあり、衣類のはっ水性は需要が高まっています。

はっ水度試験は、衣料品などの性能を評価する大切な試験です。この記事で主な対象や具体的な試験方法などについてお伝えします。

また、よくある疑問として、はっ水と耐水、防水の違いが挙げられます。こちらについても両者の違いをわかりやすくご紹介していきます。

はっ水度試験とは?

はっ水度試験は、生地表面の湿潤(ぬれ)に対する強さ(水をどれくらい弾くか)を調べる試験です。雨水などを想定して、スプレーやシャワーで生地を濡らし、水滴の残り方や生地の奥への浸透具合などを見ていきます。

はっ水度試験

衣料品のはっ水性は洗濯などで失われてしまうことがあります。そのため、洗濯やドライクリーニングを所定の回数繰り返した後の生地に対しはっ水度試験を実施する場合もあります。

はっ水性能は1級から5級までの5段階評価で、家庭用品品質表示法の「はっ水性」を表示するには2級以上が必要です。

はっ水と耐水、防水の違い

「はっ水」とあわせてよく聞く言葉が「耐水」、そして「防水」です。いずれも水に対する強さを示す言葉ですが、意味はそれぞれ異なります。これらの違いを把握しておくと商品選びにも役立ちますので、しっかり理解しておきましょう。

はっ水

前述の通り、水を弾く性質のことです。生地の表面張力を水の表面張力よりも小さくすることで水を弾くようになります。布の隙間は完全にふさがっているわけではなく、空気や水蒸気は通るようになっています。そのため、蒸れにくいですが強い雨などでは水が浸透してしまいます。また、水滴がついた状態で上からギュッと圧力をかけると中に水が浸透してしまいます。

はっ水

はっ水性のある製品として、マスクもその1つです。もしマスクの隙間をふさいでしまうと、空気が通らなくなり息苦しくなります。吐息から出る水蒸気も溜まってしまいマスクの中がひどくく蒸れることになります。ただし、隙間が大きすぎると飛沫が外に出やすくなり、マスク本来の機能が損なわれてしまいます。製品によってはっ水性の強さは調整されているのです。

耐水

耐水は水の通過や浸透を防ぐ性質のことです。布表面の隙間をふさぐことで水を通さないようになります。強い雨でも耐えられますが、逆に体から出る空気や水蒸気も通りにくくなるため蒸れやすくなります。レインコートやテントの布などは耐水性のある生地です。

耐水

なお、最近は外からの水滴は通さず、体から出る水蒸気だけを排出する「透湿防水素材」というものが開発されています。はっ水・耐水の良いとこ取りをした素材で、「ゴアテックス(GORE-TEX)」が最も知られています。

防水

JISの定義では、防水ははっ水・耐水・漏水(水を通過・浸透させる性質)の3つの性能の総称とされています。つまり、前述したはっ水・耐水は防水性能の1つということです。

防水性能は、生地を取り扱うメーカーの多くでしのぎを削っています。また、衣料品は何度も洗ったり擦れたりしますので、防水性能がどれくらい長持ちするかどうかも重要です。店頭で衣料品を購入する際は、利用目的に適した製品を選ぶようにしましょう。

はっ水度試験を実施する目的

はっ水度試験の大きな目的は、製品のはっ水性を確かめることです。家庭用品品質表示法による「はっ水」表示を行うためには、はっ水度試験で2級以上であることが条件です。レインコートや傘、テントなどの防水機能が重要な製品では欠かせない試験です。また、はっ水性を謳う製品が本当にその機能を持っているかを確かめることも重要です。たとえば海外の規格とJISの試験方法は若干違いがあるため、輸入品などは試験の実施が求められる場合があります。

使用環境を想定したはっ水性能の変化を見ることも重要な目的です。洗濯やドライクリーニングなどの処理をすると、はっ水性能が失われてしまうことがあります。何もしない状態で2級以上であっても、処理後に2級未満になることもあります。この場合、はっ水性が失われる旨を製品に記載するか、処理後でも2級以上になるように製品を改良する必要があります。

はっ水度試験で得られるデータは製品開発に役立てられます。前章でご紹介した「透湿防水素材」は何度もはっ水度試験などを繰り返し、改良を重ねた結果で生まれたものです。はっ水度試験は、品質の安定や向上に貢献しています。

はっ水度試験の対象となる主な製品

はっ水度試験の対象は衣料品などの繊維製品です。コートやジャケット、傘や靴など幅広い製品で実施します。はっ水性能を謳う製品がメインですが、はっ水加工を施していない製品についても試験することができます。

はっ水

レインコートやテント用の布、リュックやアウトドアウェアなどでは、はっ水度試験と併せて耐水度試験も実施します。この記事でははっ水度試験のみ取り扱いますが、製品によっては耐水度試験の実施も検討する必要があります。詳しくは検査会社をお問い合わせください。

はっ水度試験の主な試験方法

はっ水度試験の試験方法はスプレー試験が一般的です。海外とJISでは規格が異なりますが、試験方法は似通っています。この結果を基に等級が示され、家庭用品品質表示法による条件を満たせば「はっ水性」を表示することができます。

スプレー試験(JIS L 1092)

スプレー試験(JIS L 1092)

引用:スプレーテスター|安田精機製作所

1.約200mm×200mmの試験片を3枚用意します。洗濯処理後のはっ水性能を確かめたい場合は、水洗いやドライクリーニングを所定の回数繰り返した生地をそれぞれ3枚用意します。

2.試験片をはっ水度試験装置にセットします。セットする保持枠は45°に傾いており、上から落ちる水が試験片に当たった後、下に流れるようにしてあります。

3.試験装置上部にあるガラス漏斗に250mlの水を入れ、試験片にスプレーしていきます。

4.スプレーしたら試験片を固いものに軽く当てて水滴を落とします。

5.標準写真と試験片を見比べて、1級から5級までの格付けを3枚それぞれに実施します。

1級 表面全体に湿潤が見られる
2級 表面の半分に湿潤が見られ、浸透が見られる
3級 表面に小さな水滴状の湿潤が見られる
4級 表面に湿潤は見られないが、小さな水滴が付着している
5級 表面に湿潤および水滴の付着が見られない

レインコートなどはっ水性を表示させる場合、試験した3枚全てが2級以上(家庭用品品質表示法)である必要があります。なお、はっ水度試験を実施する製品では、耐水性・漏水性の評価も必要になる場合があります。防水性能を謳う製品では併せて実施を検討しましょう。

はっ水度試験は繊維製品の品質を保証する大切な試験

はっ水度試験はレインコートや傘、ジャケットなどさまざまな製品の防水性能を確かめる試験です。はっ水性が高ければ良いというわけではなく、通気性などのバランスを考えながら、利用用途に適した性能であることが重要です。

はっ水度試験のデータは、防水性能を持つ生地やはっ水スプレーなどの開発にも役立ちます。コートや革靴が多少の雨でも濡れにくくなっているのも、研究によって生地のはっ水性能が上がっているからです。はっ水度試験は私たちの日常の快適性を守る大切な試験です。

密着性試験を実施する目的

繊維製品の性能を調べる試験は数多くあります。繊維製品は摩擦や太陽光など、水以外にもさまざまな負荷がかかります。それぞれ適した試験を実施し、材料や製品の性能を確かめる必要があります。

引張試験(繊維)

引張試験は、試験片を両端から引っ張り、試験片が破断するまでの強度(引張強度)を調べます。生地や製品の強度を調べる基本的な試験の1つで、レインコートやテントに使う生地などでもよく実施します。

金属やプラスチックでも引張強度は確かめられますが、繊維とは規格が異なります。

引裂強さ試験

引裂(ひきさき)強さ試験は、試験片に切り込みを入れた状態で、上下に裂くように引っ張り、破断までの強度を調べます。引張試験と同じ試験機で実施でき、引張試験と併せて多く実施される試験です。ズボンのポケットや股の部分などの縫製した製品でも実施します。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

耐光堅ろう度試験

太陽光による色あせ(変色・退色)の度合いを調べる試験です。太陽光を受けやすい上着や帽子、カーテンやカーペットなどで実施する試験です。テントの布やアウトドアウェアも対象になります。耐光堅ろう度試験の場合は1級から8級までで、8級が最も堅牢性が高いものとしています。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

摩擦堅ろう度試験

重ね着や洗濯などで衣料品同士が擦れた際の「色移り」の度合いを確かめる試験です。デニムなどの生地の色が、他の生地にどれくらい移ってしまうか、汚染の度合いを調べます。生地に含んだ水分によって色の移り具合が変わるため、乾燥状態と濡れた状態でそれぞれ実施します。こちらも1級から5級まであり、5級が最も色移りしにくいものとされます。

 

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