みなさんは、STマークがどのようなものか知っていますでしょうか。
STマークとは、おもちゃの安全性を高めることを目的とした検査を行い、適合したおもちゃに対してマークを付けることが許されるものです。子どもが使う機会の多いおもちゃですので、特に安全性には配慮したいものですよね。
本記事では、STマークについてご説明したいと思います。
目次
ST(SafetyToy)マークはおもちゃの安全基準に関するマーク
STマークとは、「Safety Toy:安全玩具」の略称です。
日本で売られているされるおもちゃは、おもちゃを買う人に対して安心して購入してもらえるよう、安全性に配慮されています。
おもちゃの安全性を向上させることを目的として、おもちゃの安全対策を講じるべく昭和44年に現在の経済産業省が音頭を取り、各業界の専門家で構成する玩具安全対策委員会を発足させました。継続的に協議が実施された結果、昭和46年に第3者が介入する自主的な規制を設けることによって、おもちゃに対する安全対策を講じることが妥当だとの判断が下されたのです。本結果を踏まえて、日本玩具協会において「おもちゃの安全基準」を策定しました。そして、同年10月から自主規制事業をスタートさせたのがSTマーク制度の立ち上げです。
なお、STマークとは全てのおもちゃに対して附することができるわけではありません。
STマーク表示が可能であるおもちゃの品目は次のとおりです。
STマーク表示が可能な主なおもちゃの品目
- 駆動玩具(例:ラジコン)
- 科学玩具(例:水のみ鳥)
- 手芸玩具(例:組立が簡単なプラモデル、木製品および他のクラフト製品の道具セット)ただし、子供用のものに限る。
- 庭で使用する玩具(例:ブランコ)
- 玩具スポーツ用品(例:14才以下の子供を対象にしたスポーツ用品)
- 水物玩具(例:水鉄砲)
- 浴槽玩具(例:あひる)
- 水上で用いることを目的とする空気入れビニール玩具(例:浮き輪)
- 遊び要素のあるクリスマス用品
- 携帯電話ストラップ
- テレビに連結するビデオ玩具/ゲーム
STマークを附したおもちゃは、万が一事故が起こった場合のための賠償責任補償が付いています。STマークを使用するにあたり、使用許諾契約を締結した際に次の共済制度への加入が義務付けられています。
玩具賠償責任補償共済
支払われる金額の原資は、基金の積立てによって成り立っています。
STマーク使用契約者が支出したSTマークが附されているおもちゃを起因として発生した、事故被害者に対しての賠償・見舞金等に支払った金額を補填してくれます。補填される額面は対人1人1千万円、見舞金10万円を上限として支払われます。
玩具製造物責任補償共済
平成7年のPL法施行と同時に、元来から適用されていた玩具賠償責任補償共済へ生産物責任保険を兼ね合わせることによって、高額な損害賠償に対応できるようにしました。補填される額面はは対人1人1億円、対物2千万円を上限として支払われます。
このように、STマークが附されているおもちゃは、万が一の事故等が発生した場合においても適切に対処してくれますので、子どもが安心して遊べるおもちゃとなっているのです。
ST基準適合検査の種類
STマークをおもちゃにつけるためには、厳しいST基準適合検査を通過しなければなりません。
この検査は、日本玩具協会が指定している第三者検査機関を選択して、各項目における検査を実施しなければならないのです。
ここからは、具体的な検査の種類についてご説明したいと思います。
機械的及び物理的特性の検査
おもちゃ本体の、形状及び強度を確認するための検査となっています。
事例を挙げると、対象年齢3歳未満を対処としているおもちゃに関する検査では、各パーツなどの大きさを測定して、使用対象となっている子どもがおもちゃの部品などを誤飲してしまわないようにすることを観点として、極小部品や極小球が使用されていないかどうかを検査します。
子どもは、こちらが想定していない遊び方をしてしまう可能性も否定できませんので、事故が起こってからでは遅いと言えます。そのため、小さな子どもが遊んでいても危険が伴わない形状や大きさ等についても、使用対象となっている子どもに合わせて確実に検査していることが伺えます。
可燃性の検査
子どもの肌などに直接接して使用して遊ぶおもちゃに関して、燃えやすい物質の使用可否について確認する検査となっています。
事例を挙げると、子どもが遊んでいるときに直接肌に触れることが想定できるものであり、お面・かつら・着せ替えドレス・おもちゃのテント・ぬいぐるみ等が挙げられます。これらの可燃性について詳細に調査することとなるのです。
おもちゃを構成する物質で、布・紙等が使用されることは珍しくありません。これらの物質は軽量であるため、比較的使用しやすいため重宝されており、おもちゃへと使用される頻度は高いと言えるでしょう。これら使用頻度の高い物質に対して、可燃性も含めて配慮されていることによって、おもちゃの安全性が極めて高い水準で保たれることとなるのです。
化学的特性の検査
おもちゃを構成する物質に、万が一ですが有害な物質が使用されていることは断じて許されません。それら有害物質が含有されていないことを確認する検査となっています。
厚生労働省が発出している食品衛生法等を準拠し、重金属やフタル酸エステル等が検査項目となっています。
小さな子どもは、おもちゃをすぐに口に入れてしまいます。誤飲に関する配慮も適切に行わなければなりませんが、そもそも有害物質が使用されていないことが前提ですので、この検査の重要性が伺えます。
おもちゃには盲導犬マーク・うさぎマークもある
安全性が確保されているおもちゃには、様々な検査を通過した結果、STマークが附されていることについては上述したとおりです。
しかし、STマークの他にもおもちゃの安全性を確保していることを示すマークや、様々な人たちが安心して遊べることについて配慮していることが分かるマークなどがあります。
ここからは、STマーク以外のマークについてご紹介したいと思います。
盲導犬マーク
目の不自由である子どもが安心して遊べるように配慮されているおもちゃに対して、盲導犬マークが附されています。このマークは、盲導犬として社会貢献している犬種として多いラブラドール・レトリバーがモチーフとして設定されています。
うさぎマーク
耳が不自由である子どもが安心して遊べるように配慮されているおもちゃに対して、うさぎマークが附されています。
海外ではCEマークがある
STマークは日本基準に準拠していますが、CEマークはヨーロッパで運用されている商品安全基準となっています。
STマークと比較して異なる点は、ヨーロッパの市場において出回っているおもちゃには必ず付されている点です。これは、おもちゃメーカーが自主申告に基づいてCEマークを附しており、日本のように第三者機関が検査をして承認していないところです。
CEマークの適用範囲は広範多岐に渡り、単純にCEマークが附されていてもおもちゃの安全性を確保しているわけではない事例もあります。CEマークにおいて、おもちゃの安全性を確保している規格は、EN71があります。ヨーロッパにおいては、CEマークのEN71が附されているおもちゃが安全確保されているとご認識ください。
安全基準を満たした安全なおもちゃで遊びましょう
ここまで、STマークについてご説明致しました。
おもちゃは、大人よりも子どもが使用する機会が多い製品となっています。そのため、他の商品と比較しても安全性には特段の配慮をすべきであると言えるでしょう。
本記事をご覧になられた方が、少しでもSTマークに対してご理解されたのであれば幸いです。